CAEはどう使われていくのか

FEMに代表されるCAEツールというのは汎用、特定目的問わず数多くあるわけですが、極端なことを言ってしまえば超高級関数電卓のようなものです。

操作の複雑さというのは相応にあるにせよ、あくまで道具。道具が使えることそれ自体は特別ではない(と考えます)。

シミュレーションでもっとも難しいのは条件設定。私が主としてきた機械系CAEで言うと材料物性と境界条件です。

道具の使い方というのはベンダーのセミナーや学校で教わることが出来ます。参考書を買って独学でもなんとかなるでしょう。私もANSYSの使い方をほぼ独学に近い形で覚えました。(旧会社でMultiphysicsライセンスを利用していました)

一方、境界条件を決めるためには機械系の基礎的な素養を学んでいる必要があると考えます。セミナーでは実際の現象に対応した値は出しようが無いからです。製品の仕様、環境に正解はありません。

また、数値シミュレーションは実物による実験と異なり、さまざまな条件を操作者が自分の手で決めることが出来ます。目標とする数値を導くために、現実とは異なる条件、あるいは起きえない条件を設定しても、大抵の場合”与えた条件通りに正しい答え”が計算出来てしまいます。発散して解が得られないこともありますが。

そして、与えた条件が正しいのか、出てきた結果は物理現象として適正であるかどうか、これを解析技術者は判断しなくてはいけません。これが難しい。実物を使った実験であれば、物理的に正しいかどうかは議論の余地が無いですが、計算の場合はそうもいきません。解析(CAE)は信用出来ないと未だに言われ続けるのもこのあたりが適切に認識されていなかったりするのでしょう。

昨今はAI技術の発達もあり、こうした設計検証自体は全て機械任せになる未来が、あるいは来るのかも知れません。

ただ、どれほど計算技術が発達しても、計算機はあくまで与えられた条件と数式から解を提示するだけ。数式は偉大な先達が研究を重ねて導き出されたモノですが、間違った条件を与えれば”間違いの通りに正しい答え”が出てしまう。

その妥当性の判断を人間が行わなければならない限り、CAEというものが技術者の手を離れることはないのではないかなと、そのように思います。